最近ではデジタルマーケティングから一歩踏み出し、マーケティングDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進する企業が増えています。これから着手する企業も少なくないと思いますが、中には「マーケティングDXって何?」「どんな効果が期待できるの?」といった疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事では、マーケティングDXの定義やデジタルマーケティングとの違いなどを説明します。マーケティングDXの目的や成功事例も解説するので、自社の取り組みに役立ててください。
目次
マーケティングDXの定義
マーケティングDXとは「マーケティングにデジタル技術を活用することで、商品・サービスやビジネスモデルなどを変革し、競争優位性を確立する」ことです。企業全体を抜本的に変革するDXから発生した取り組みであり、その名のとおり、マーケティング領域のみを切り出したDXを意味します。
マーケティングDXは「市場調査や広告宣伝などのマーケティングに関する業務をデジタル化し、データを利活用することで新たなビジネスや組織を創出する」ことを目的としています。急激に変化するマーケットにスピーディーに対応するために必要な取り組みであり、企業全体のDXを実現するためにも欠かせません。
マーケティングDXとデジタルマーケティングの違い
マーケティングDXとデジタルマーケティングはデジタル技術を利用する点では共通していますが、両者の意味は大きく異なります。デジタルマーケティングは、IT技術や電子データを活用したマーケティング手法です。対するマーケティングDXは前述したとおり、マーケティングのデジタル化による変革を通じた競争優位性の確立を指します。
つまり、デジタルマーケティングは「手段」そのものを意味しているのに対し、マーケティングDXは手段の先にある変革や競争優位性の確立といった「実現すべき目標」までを意味に含んでいるのです。デジタル技術を活用する点は共通していますが、両者はそもそも表しているものが違うのでご注意ください。
マーケティングDXの主な目的
企業がマーケティングDXに取り組む主な目的は、4つに大別できます。以下、その内容や具体的な効果について説明していきます。
顧客体験を刷新する
マーケティングDXの重要な目的のひとつは、顧客体験の刷新です。デジタル技術の活用によって顧客のニーズや行動をリアルタイムで把握し、サービスのパーソナライズが可能となります。
例えば、Webサイトでの行動履歴や営業活動の進捗などのデータを統合管理することで、顧客一人ひとりに最適な提案ができるようになるのです。これによって顧客体験が刷新され、商品・サービスへのロイヤリティ(愛着)や顧客満足度の向上も見込まれます。
生産性が向上する
生産性の向上を、マーケティングDXの目的に掲げる企業も少なくありません。マーケティングではデータ処理やレポート作成など多くの作業が発生しますが、デジタルツール導入によって大幅な工数削減が可能です。
例えばMAツールやCRMシステムなどを活用すれば、時間を要する繰り返し作業を自動化できます。これにより業務がスムーズになれば、戦略の立案など重要度の高い業務に集中できるようになり、マーケティング全体の生産性が高まるでしょう。
データにもとづいた客観的な判断ができる
データにもとづいた客観的な判断ができるようになることも、マーケティングDXの目的のひとつです。デジタル化によって蓄積されたデータを活用すれば、各施策の定量的な評価や多角的な分析ができるようになります。
その結果、客観的なデータにもとづいた意思決定がくだせるようになるため、マーケティング効果の最大化も期待できるでしょう。
新商品・サービスやビジネスモデルを構築できる
マーケティングDXの目的には、新商品・サービスやビジネスモデルの構築も挙げられます。デジタル技術やデータの利活用をすれば、従来と異なるビジネスの創出も不可能ではありません。
例えば、AIやIoTの活用、データ分析による顧客セグメントの発見などは、新規事業の開発に直結します。また、マーケットや顧客ニーズの変化に迅速に対応することで、ビジネスモデルを変革し、既存事業を成長路線へ乗せることもできるでしょう。
マーケティングDXの成功事例
マーケティングDXに成功した日本企業の事例※を3つ紹介します。具体的な取り組みと成果をあわせて解説するので、マーケティングDXの戦略を立案する際の参考としてください。
- 経済産業省「DX銘柄2022」
事例1:中外製薬株式会社
日本の大手医薬品メーカーの中外製薬株式会社では、日常の実臨床の中で得られた医療データである「RWD(リアルワールドデータ)」の有効活用に成功しました。RWDの解析結果を社内意思決定の根拠となる情報とするだけでなく、医薬品の承認申請に寄与し得るエビデンスの創出も実現しています。今後は、患者の治療効果やQOLを向上し、患者一人ひとりに最適化された高度医療の実現も期待されています。
また、AIなどの先進技術の導入にも積極的です。最適な分子配列を得るAI創薬支援技術「MALEXA」を自社で開発するなど、創薬プロセスの革新によって、創薬の成功確率向上やプロセス全体の効率化も目指しています。
事例2:AGC株式会社
世界的なガラスメーカーのAGC株式会社では、「Low-Eガラス」の拡販に成功しました。Low-Eガラスとは熱の移動を抑える低放射膜をコーティングしたガラスで、住宅やビルの窓ガラスに用いれば、夏の節電・暑さ対策や冬の断熱効果向上を期待できる画期的な商品です。このLow-Eガラスの市場を開拓するため、同社ではMAを導入しました。顧客との接点を増やすと同時に、顧客情報と商談進捗を社内で横断的に共有できるようになり、Low-Eガラス市場の新規開拓を強力に推進できるようになったのです。
事例3:株式会社GA technologies
不動産をはじめ、さまざまな産業のビジネス変革に取り組む株式会社GA technologiesでは、不動産取引のオンライン化に取り組んでいます。これまで不動産売買は、紙の資料や対面交渉などオフラインコミュニケーションが一般的でした。しかし、同社では営業資料のデジタル化や電子契約システムの活用などによって、取引で発生する紙の使用量を1契約あたり平均452枚も減らすことができました。このペーパレス化によって業務効率化やコスト削減を実現しています。
加えて、同社のグループ会社では不動産管理会社・賃貸仲介会社に向けた業務支援サービスを提供し、空室情報や申し込み情報などリアルタイムな物件データベースの構築を実現しました。不動産賃貸業のデジタル化を促す取り組みによって、同社はサービスを利用する事業者の働き方や顧客体験を変革することに寄与しているのです。
マーケティングDXの導入で成果をあげよう
マーケティングDXの実現には、自社が保有する多様なデータを統合的に管理し、各施策でPDCAを効率的に回すことが重要です。そのためには、自社に適したデジタルツールの導入が欠かせません。
特に、DXツールはこれからマーケティングDXに取り組む企業に最適でしょう。豊富な機能で幅広い業務のデジタル化を進められ、導入コストも抑えられます。もしマーケティングDXのスモールスタートを検討中なら、DXの7領域をワンツールで支援する「Hirameki 7」の導入もご検討ください。
無料でお試しできるDXツールHirameki 7については、こちらからご覧ください。