
プロジェクト管理は、プロジェクトを成功させるために不可欠です。
本記事では、プロジェクト管理における「重要な要素」、そして管理するための「手法」を代表的なものに絞ってご紹介します。どのように管理していくべきかお悩みの方はぜひご確認ください。
目次
プロジェクト管理で大切な6つの要素
プロジェクトの成功には、「スコープ」「スケジュール」「コスト」「要因」「品質」「リスク」をそれぞれ管理する姿勢が欠かせません。各分野をバランスよく管理することで、プロジェクト全体が円滑に進み、成果を確実に得られます。
スコープ管理
「スコープ管理」とは、プロジェクトの目標を達成するにあたり「何をどこまでやるか」という作業範囲(スコープ)を明確にし、それを管理することを指します。必要な成果物・作業範囲を明確にすることで、タスク漏れの防止に繋がるため、スコープ管理は、目標を達成するために欠かせない大切な要素のひとつです。
スケジュール管理
プロジェクト管理における「スケジュール管理」とは、プロジェクトを最終期限までに完了させるために、進捗状況を把握したり、各工程にかかる時間を管理したりすることです。
全体の進捗を共有しつつ予期せぬリスクに備えることで、納期を守りながら品質を維持でき、プロジェクトの成功へ導きやすくなります。また、チーム全員がスケジュールの重要性を認識し、定義された計画の進行をこまめに確認すると、全体の遅延リスクを低減できます。最適なスケジュール管理は、プロジェクトの円滑な達成を助ける大きな手がかりになるでしょう。
コスト管理
プロジェクト管理における「コスト管理」とは、プロジェクトにかかる費用を予算内におさまるように管理することを指します。人件費や材料費など、かかるコストを見積もり適切に管理することで利益を生み出すことが大切です。
プロジェクト自体が問題なく進んだとしても、コスト管理が適切にできていないと企業として利益を出せない可能性があるので、重要な要素のひとつです。
要員管理
「要員管理」とは、プロジェクトに必要なスキルや人数を適切に配置し、プロジェクトの目標を達成できる体制を整えることを指します。スコープ管理やスケジュール管理が適切にされていたとしても、それを実行できる体制が整っていないと意味がありません。
要因管理を行う際は、担当者の負荷や得意分野を考慮して配置すると、作業効率が高まり品質面にも良い影響があります。また、各メンバーの状況を共有し、コミュニケーションを活発にすることで、問題が起きても早期対応が可能です。人的要因に着目しながら品質向上を図り、成果物を円滑に完成させるためにも要員管理は欠かせません。
品質管理
プロジェクト管理における「品質管理」とは、製品やサービスが定めた基準を満たしているかを確認することです。
品質計画で達成すべきレベルを設定し、品質保証の活動で基準を満たすための方法を検討します。そして、実際の作業を測定・記録する段階で異常があった際に見つけられるように管理し、修正や対策を講じて品質を守ります。このように、適切なプロセスを組み合わせることで、成果物が期待通りの性能を発揮し、プロジェクトの信頼性を高めることができるため、重要な要素となっています。
リスク管理
「リスク管理」とは、想定外の事態をあらかじめ洗い出し、その影響を極力少なくする対応策を用意することを指します。リスク管理を行っておくことで、予期せぬことが発生した際に適切に素早く対処することができるため、プロジェクト管理において大切な要素のひとつです。
特に、スケジュールやコストに影響が及ぶリスクを早期に検討すると、進捗を安定させられます。
プロジェクト管理の代表的な5つの手法
プロジェクト管理には多様な手法があります。プロジェクトの目的や規模にわせて適切な手法を選択・もしくは組みあわせて管理するようにしましょう。
CCPM
CCPM(Critical Chain Project Management)は、バッファ(余白)を意識して全体のタスクを管理し、プロジェクトの遅延を防ぐ手法です。各工程の納期を可能な範囲で短縮し、その分のバッファをプロジェクト全体のバッファとして管理する手法です。

例えば、各工程に10日間(バッファ含む)で計30日間となっていたのを、バッファを除いた25日間+プロジェクト全体のバッファ5日間として管理する形です。
余白を戦略的に設定することで、予想外の問題が発生しても納期を大幅にずらさずに済みます。ただし、バッファに頼りすぎると余剰を生みかねないため、部署間での協力体制が整っていることが大切です。
WBS
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト全体を細かな作業単位に分解し、タスクや担当者を整理する手法です。WBSを適切に作成することで、プロジェクトの流れや工程ごとの依存関係が見えやすくなり、チーム全員が目標に集中できます。
ただし、WBS自体の作成に時間を要することがあるので、注意が必要です。場合によっては、WBSを用いたプロジェクト管理ツールの導入を検討するのがおすすめです。

そしてその細分化されたリストを横向きの棒グラフを用いて見える化したものを「ガントチャート」といいます。ガントチャートを用いることで、より工程ごとの関係性や、作業にかけられる日数の確認が容易になり、効率的にプロジェクトを進めていくことが可能です。

- Hirameki 7の「案件管理」機能で利用できるカンバンの画面です。
また、「未着手」「進行中」「完了」などの枠を用意し、各工程を進捗に応じて動かしながら状況を見える化する手法を「カンバン」といいます。タスクが多すぎると管理しづらいので、小規模なプロジェクトに限定される点はありますが、シンプルな仕組みで誰でも直感的に使いやすいメリットがあります。
PERT

PERT(Program Evaluation and Review Technique)は、複数タスクの前後関係を図で示し、プロジェクト全体の流れを視覚的に把握する手法です。並行して進められる作業や、完了に要する日数を明確にすることで、効果的なスケジュールを組みやすくなります。
複雑な工程でも開始や依存関係が一目で分かるため、遅延を早期に発見可能です。この手法は、複数のタスクを同時進行する際に有効で、プロジェクトの進行をスムーズに導けます。
PPM
PPM(Project Portfolio Management)は、進行中の複数のプロジェクトを一元で管理する手法です。企業の経営層が複数のプロジェクトにおける優先順位を決める際などによく使われる手法で、事業全体を俯瞰し、限られたリソースを有効活用しながら運営するために役立ちます。全体像を整理することでプロジェクト間の衝突を減らし、経営判断を下しやすくなります。
ただし、PPMは作成に時間や労力、システムを導入する場合は費用もかかるため、注意が必要です。
PMBOK
PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)は、プロジェクト管理の基準となる知識体系で「ピンボック」と読みます。プロジェクト管理をするうえで、知っておくべき手法や知識を体系的にまとめたものです。現在ではプロジェクト管理の世界基準として知られ、日本版では2021年に第7版が出版されています。
PMBOKは、目標として「QCD(品質、費用、納期)」の管理を掲げていて、重要な要素として「5つのプロセス」と「10個の知識エリア」を挙げています。これらを学ぶことで、プロジェクト管理への理解は深まりますが、あくまで参考書のようなものになるので、その後具体的なアウトプットは自身で考えていく必要があります。
どの手法を選ぶべき?管理方法の選び方
プロジェクト管理手法を選ぶ際は、「目的」「組織の規模」「プロジェクトの難易度」などを踏まえて、それにあった手法を選択するようにしましょう。また複数の手法を組み合わせることでより管理がしやすくなるケースもあるので、あわせて検討しましょう。
目的にあわせて選ぶ
プロジェクトの目的によって選び方が変わります。全体のスケジュールを見える化したいならガントチャート、タスクごとの進捗を素早く確認したいならカンバンなどが有効です。
また、品質重視なら、PMBOKの体系的手法を組み合わせるとプロセスを整理しやすくなります。事前に何を最重視するかをはっきりさせると、必要なツールや作業分解が明確になり、無駄を省けるため効率的です。
組織の規模を踏まえて選ぶ
組織の規模が大きい場合は、複数チームを統合しやすい管理手法が有効です。小規模ならカンバンなど軽量な方法が導入しやすいです。
また、コミュニケーションをスムーズにとれるか、全員とスケジュールを共有できるかもポイントになります。大規模でもWBSやガントチャートは活用しやすく、どの範囲でどのタスクを誰が担当するかを明確化できます。組織の特性と実際の場面を想定し、適切に選ぶことで無駄を減らしやすくなります。
プロジェクトの難易度で選ぶ
タスクがシンプルなプロジェクトなら、カンバンのような手法で効率よく進めやすいです。反対に複雑な関係や多数の作業工程を含む場合は、PERTやWBSを使うことで管理しやすくなります。
難易度が上がるほど、全体の把握に手間がかかるため、特性に合った手法を選ぶことが鍵です。無理に単純化しすぎないよう注意しながら適切に導入すると、プロジェクトの成功率を高められます。
また、シンプルなプロジェクトであればHirameki 7の「案件管理」機能の活用がおすすめです。カンバンで管理することができるので、プロジェクト全体の進捗を簡単にご確認いただけます。さらに、各工程ごとに細かいタスクを設定し、担当者や期限を設定することができ、シンプルな設計ながらもタスクの抜け漏れなくプロジェクトを進めていくことが可能です。
まとめ:プロジェクト管理の手法を活用し成功をつかむために
プロジェクト管理の手法を活用するには、目的やスケジュール、コストなどを明確にし、チームで共有する姿勢が欠かせません。
ご紹介した手法の特徴を理解した上で、適切な手法でプロジェクト管理を行うようにしましょう。