企業のデジタルデータは日々の業務に欠かせないものであり、重要な資産でもあります。しかしその管理方法に不備や問題があると、本来、効率化を達成してくれるデジタル化の弊害になりかねません。こうした課題に対して、社内のデータファイルを適切に管理し、さらなる業務の効率化を目指したいと考えているビジネスオーナーや組織のマネージャーは少なくないはずです。
今回は、データ管理スキルを向上させる効率的なファイル管理の方法とツールの選び方を紹介します。
目次
ファイル管理とは?
ファイル管理とは、パソコンなどの端末に保存されているデジタルデータのファイルを紛失することなく適切に保全し、いつでも見つけ出せるように整理・分類し、簡単に検索と取得が可能なシステムを構築することです。
ファイル管理は、適切に行うことで目的のファイルに素早くアクセスでき、業務プロジェクトのファイル共有をスムーズにして、業務効率を改善します。同様に、組織で統一された「ファイル管理ルール」は、ファイルを探すための時間や労力を軽減し、組織全体の業務効率を大幅に改善するだけでなく、ミスの防止にも効果的です。
また、顧客などの重要な情報を扱う企業にとっては、ファイルの消失や破損は社会的な信用を失うことになりかねないため、ファイル管理は必要不可欠な業務といえるでしょう。
ファイル管理で押さえておきたい5つのルール
ファイル管理に必要なのは「ルール」です。ここでは、ファイル管理で押さえておきたい5つのルールを紹介します。自社の状況にあわせてアレンジしながら運用してください。
ディレクトリ構造の作成
フォルダ管理を進めるにあたっては、まず全体のディレクトリ構造を作成します。構造は、「どのような形で切り分けるか」と、「何階層まで作るか」の二軸で考えます。
- 第一階層は組織図、もしくは業務ごと
第一階層は通常「組織図どおり」、もしくはプロジェクトベースの業務であれば「タスク別や業務種別ごと」に切り分けます。それ以降は「各部門内のタスク別」に切り分けていけば、実施される期間が定期的に決まっているものは整理しやすくなります。
また、第一階層に「ショートカットフォルダ」(外部フォルダへのリンクも含む)と「データ受け渡し用のフォルダ」を設けておくと運用がスムーズになります。
- フォルダの階層は2~3階層を目安に
フォルダ構成を考える際には、階層を深くしすぎないようにしましょう。階層を深くしすぎると、目的のファイルにたどり着くまでのプロセスが増え、探すのに時間がかかります。フォルダは2~3階層を目安に作成しましょう。深すぎない適度なフォルダ階層を構築することで、ファイルが探しやすくなるだけでなく、管理が複雑化しないというメリットがあります。
ファイルの命名規則
2つ目は、ファイル名・フォルダ名の記載ルールを決めることです。これにより、組織全体で情報を共有する際に内容が分かりやすくなります。ルールが定まらないと管理するファイルに統一性が生まれず、ファイルの検索に時間を要してしまいます。
次のような項目を参考にして、自社に適したルールを作成してみましょう。
<ファイル名の付け方を統一する>
- 全角半角のいずれかに統一
- バージョン管理は数字2桁に統一
- ハイフンもしくはアンダーバーの統一
- 「顧客名+内容+日付」などの記載項目と記載順の統一
<フォルダ名の付け方を統一する>
- 各フォルダ名の通し番号を先頭に記載するなどの統一
- ファイル名に合わせた記載ルールの適用
バージョン管理の手法
ファイルのバージョンを管理することで、最新のファイルの把握・検索が容易になるでしょう。また、最新のファイルだけでなく、過去のファイルについても履歴や版数を管理することで、いつでも探し出せるように整理することができます。
ファイルの更新日時は自動的に更新されますが、自動付与される変更日ではなく、見積書や仕様書など、大きな変更点の把握だけを必要とする業務的なファイル管理の場合には、ファイル名に作成・更新日を記載することにより、履歴や最新版を管理することが可能です。
Hirameki 7のファイル管理機能を活用すると、バージョン管理が簡単に行えます。ファイルをアップするだけで同名ファイルはバージョン履歴を残すことが可能です。またコメント機能を併用することでどのような変更を行ったかが一目で分かるようになります。
ファイルのバックアップと復元
万が一データが削除や破損などで失われた場合、すぐに復元できるようにバックアップを実施しておくことは、ファイル管理の重要なルールのひとつです。特にデータの損失が信用問題に関わる「取引先情報」など重要度の高いデータについては、バックアップの実施が必須となります。
不要なファイルの整理とアーカイブ
増え続けるファイルの中から「古いバージョンのファイル」を選別し、「継続して保存するファイル」と、「今後アクセスすることがない不要なファイル」として削除するかの取り扱いを決めるルールも重要です。
不要になったファイルを放置すると、ストレージの容量(保存できるデータ量の上限)を圧迫する原因になります。したがって、「古いバージョンのファイル」の中から「継続して保存するファイル」と今後アクセスすることがない「不要なファイル」を選別し、不要なファイルを削除するルールを設定して、使わないファイルが増えないように整理することもファイル管理では重要です。
長期的に保管が必要となるファイルはあらかじめ「保管用フォルダ」に、またその中間の「一定期間更新がないファイル」は、収納するアーカイブフォルダを別に設置すれば、ファイルが混在して目的の情報が見つからないという状況も改善されます。
効率的なファイル管理のためのツールの選び方
ファイル管理ツールの機能はツールごとに違い、特定の業務に適したものから、検索機能、編集機能、セキュリティ面で優れたものなどさまざまです。自社の特徴にあわせて導入するツールを選びましょう。
ファイル管理ツールを選ぶときは以下の機能があるかを確認しながら検討してみてください。
<ファイル管理ツールのポイント>
- 検索のしやすさ
- 法令や各種制度への対応
- セキュリティ設定・アクセス制限
- ワークフロー管理
ファイル管理で生産性を上げよう
ファイル管理は、まずその重要性を正しく理解することが大切です。そして、管理者だけが限定的に行うのではなく、全社・全員が一体となって取り組むべきだということを理解しましょう。
また、ファイル管理ツールを利用することで、煩雑なデータファイル探索から解放され、業務効率と生産性を向上させることができます。保管効率や検索スピードが大幅に向上するだけでなく、セキュリティ面の強化も期待できます。