個人事業主がIT導入補助金を申請する方法は?対象者や補助対象を解説

IT導入補助金は個人事業主も申請対象であり、業務にITツールを使う予定があるなら積極的に活用したいところでしょう。しかし、その詳細をきちんと把握している人は少ないのではないでしょうか。そこでこの記事では、個人事業主がIT導入補助金を申請する方法について詳しく解説します。

※本記事の内容は2024年3月時点の情報になります。

目次

IT導入補助金とは?

IT導入補助金とは「中小企業・小規模事業者などの生産性向上を目的として、自社の業務や課題にあったITツールの導入を支援する補助金」です。5つの申請枠が設けられており、それぞれ補助対象者と補助対象、補助率・補助額が異なります。申請枠の概要は以下のとおりです。

通常枠

通常枠は、事業のデジタル化を目的としたITツールの導入を支援する枠組みです。補助率は2分の1以内で、補助額はソフトウェアの内容によって異なります。最小で5万円以上150万円未満、最大で150万円以上450万円以下が補助されます。

インボイス枠(インボイス対応類型)

インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応したITツール導入を支援する枠組みです。補助率と補助額は導入するITツールで異なります。例えばソフトウェアなら最大で補助率3分の2以内、補助金50万円超から350万円以下となります。

インボイス枠(電子取引類型)

インボイス枠(電子取引類型)は「インボイス制度対応のITツールを取引先含めた商流全体に導入することを支援する枠組みです。補助率は中小企業と小規模事業者などが3分の2以内、そのほか事業者等などが2分の1以内で、補助額は350万円以下です。

複数社連携IT導入枠

複数社連携IT導入枠は、商工団体やサプライチェーンを構成する事業者などのITツール導入を支援する枠組みです。補助率は補助対象で、補助額は補助対象とグループ構成員数によって変わります(一部除く)。例えば、ソフトウェアなら補助率3分の2以内で補助額50万円超から350万円以下×グループ構成員数、上限額は3000万円以下です。

セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、その名のとおり、セキュリティ対策を支援する枠組みです。補助率は2分の1以内、補助額は5万円以上100万円以下です。

IT導入補助金は個人事業主でも申請できる?

個人事業主でも、要件に該当すればIT導入補助金を申請できますIT導入補助金は中小企業・小規模事業者を対象としており、資本金あるいは従業員規模で判断されます。小規模事業者の定義には、商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)であれば5人以下などの条件がありますが、従業員を雇わないことが一般的な個人事業主であれば、ほとんどの場合、補助対象者となるでしょう。

IT導入補助金の補助対象とは?

IT導入補助金の補助対象は、申請枠によって異なります。例えば通常枠ではソフトウェア購入費・クラウドサービス利用料と、付随するオプションや、コンサルティングなどのサービスが補助対象です。

一方で、インボイス枠(インボイス対応類型)では会計・受発注・決済ソフトウェアとオプションやサービスに加え、PCやPOSレジなどのハードウェアも対象となります。ただし、ハードウェアはソフトウェアの使用に資するものでなければいけません。

このように、申請枠によって該当する補助対象が違うため、事前に確認しておくことが大切です。

個人事業主がIT導入補助金を申請する際の必要書類

IT導入補助金の申請に必要な書類は、個人事業主の場合は主に3つです。

<個人事業主がIT導入補助金の申請に必要な書類>

  • 運転免許証などの申請者の本人確認書類
  • 所得税の納税証明書(その1もしくはその2
  • 確定申告書の控え

ただし、インボイス枠(電子取引類型)と複数社連携IT導入枠では、ほかの書類の提出も求められます。

個人事業主がIT導入補助金を申請する方法

個人事業主がIT導入補助金を申請する方法は、以下の7ステップとなります。スムーズにIT導入補助金の申請を進めるためにも、事前にチェックしておきましょう。

公募要領などの確認

IT導入補助金の公募要領やガイドラインを確認します。導入したいツールと用途が適する申請枠を見定め、申請の条件などをチェックしましょう。

GビズIDプライムのアカウント取得

公募要領などを確認したら、申請書の提出などに使用する「GビズIDプライム」のアカウントを取得します。オンライン上で作成した申請書を印刷して捺印し、印鑑登録証明書とあわせて運用センターに郵送します。また、マイナンバーカードがあればオンライン申請が可能です。

SECURITY ACTIONの実施

アカウントを取得したら、「SECURITY ACTION」を実施します。これは、情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度で、IT導入補助金2024では「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が要件です。

「みらデジ経営チェック」の実施

SECURITY ACTION宣言後は、ポータルサイト「みらデジ」内の「経営チェック」を実施します。みらデジ経営チェックを利用すれば、簡単な設問に回答することで、同業他社と比較した経営課題の状況やデジタル化の進捗度などを把握できます。

IT導入支援事業者およびITツールの選定

続いて、自社の業種や経営課題にあったIT導入支援事業者とITツールを選定します。IT導入補助金2024サイト内の「ITツール・IT導入支援事業者検索」などを活用すると効率的です。

交付申請

IT導入支援事業者が決まったら、交付申請を行います。事業計画の策定後にIT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受けます。次に必要な情報を入力し、必要書類も添付します。支援事業者にITツール情報と事業計画値を入力してもらったら、申請マイページ上で内容確認と宣誓を行って、事務局へ提出してください。

交付決定

交付申請が終わったら審査を受け、採択されたら交付決定を通知されます。通知を受けたら補助事業者となり、補助事業を開始することが可能です。なお、不採択であった場合は通知書が届きます

個人事業主がIT導入補助金の補助事業を実施する方法

IT導入補助金の交付が決定したら、どのような作業が発生するのでしょうか。交付後、補助事業を実施する方法は4ステップです。

ITツールの発注・契約・支払い

交付決定後はITツールの発注・契約・支払いなどを行います。なお、交付決定前に発注などを行った場合、補助金は交付されないので注意が必要です。

事業実績報告

補助事業が完了したら、事業実績報告を行います。申請マイページから必要な情報を入力し、補助対象となる費用の請求書や契約書などを添付します。続いて、IT導入支援事業者に内容確認と情報入力を行ってもらい、その内容を確認したら事務局に提出してください。

補助金交付

事業実績報告が完了して補助額が確定すると、補助金が交付されます。申請マイページで補助額を確認できるようになり、登録した受取口座に送金されます。

事業実施効果報告

最後に、事業実施効果報告を行います。定められた期限内に申請マイページから必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て提出してください。

個人事業主でも申請できるIT導入補助金を適切に活用しよう

IT導入補助金は個人事業主でも手軽に申請でき、事業の大きな助けとなります。ソフトウェアのみならず、PCやPOSレジなどのハードウェアが対象となる枠もあるため、事業拡大の可能性を広げることができるでしょう。ぜひ積極的に活用を検討してみてください

Facebook X LINE