中小企業のデジタル化はなぜ遅れている?直面する課題と解決策

多くの企業がデジタル化に向けての取り組みを進めています。しかし、日本の中小企業ではデジタル化が遅れており、大きな課題となっています。
では、中小企業のデジタル化が遅れている背景には、どのような要因があるのでしょうか。その現状について解説し、あわせて具体的な解決策も紹介します。

目次

中小企業におけるデジタル化とは?

デジタル化とは、これまでの業務や生活にITやデジタル技術を導入することです。デジタル化にはさまざまな方法がありますが、段階によって2つに大別できるといわれています

そのうちの1つが、ツールのデジタル化です。ペーパーレス化やテレワーク導入など、従来の業務をデジタル技術で置き換え、業務の効率化やコストの削減を目指します。

もう1つは、プロセスのデジタル化です。AIやIoT製品などデジタル技術の導入によって、製品の状態チェックや顧客からの受注自体を自動化し、競争力の向上を図ります。人手不足や多様化が進む現在、デジタル化は必要不可欠な取り組みであり、中小企業においても重要度はますます増しています。

中小企業におけるデジタル化の現状

中小企業におけるデジタル化の遅れは、日本にとって大きな課題のひとつとなっています。中小企業庁の調査「2023年版中小企業白書・小規模企業白書概要」※1によると、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、デジタル化に優先的に取り組む中小企業は増え続けています。しかし、それでも2022年時点でデジタル化を達成できている企業は3割強でした。

DXの取り組み状況について

また、中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査」※2ではDXに取り組んでいる企業は7.9%にとどまっています。逆に必要だと思うが取り組めていない企業と取り組む予定がない企業をあわせると、75.2%にも達しこの傾向は規模が小さい企業ほど顕著となる傾向があります。

もちろん、調査によって結果は異なりますが、総じて中小企業におけるデジタル化はまだ十分といえる段階にはないといえるでしょう。

中小企業におけるデジタル化の課題

中小企業のデジタル化が進まない原因としては、主に4つの課題が挙げられます。ここからは、中小企業におけるデジタル化の課題について説明します。

資金不足

予算が潤沢ではない中小企業では、資金不足がデジタル化の課題となります。デジタル化を図るためにはソフトウェアの導入、社内インフラの整備など少なからずコストがかかります。導入してしまえば投資額以上のコスト削減が期待できるものの、デジタル化の初期費用を調達できないケースも見られます。

ただし、最近では手頃な価格のITサービスも増えており、導入にかかる費用を削減することも可能です。

IT人材の不足

ITスキルを持つ人材が不足していることも、中小企業のデジタル化の課題です。最近では専門的な知識がなくても扱えるツールも存在しますが、それでもシステムの選定・導入・構築は必要となります。専任のIT担当者がいないことで、検討段階で二の足を踏んでしまう企業も少なくありません。

IT人材の確保が難しいなら、外部の専門家や企業に頼ることも視野に入れると良いでしょう。

従業員のリテラシー不足

従業員のITリテラシー不足も、中小企業のデジタル化が滞る要因となります。デジタル化を進めるイメージが分かなかったり、導入や運用に関するノウハウがなかったりすると、システム導入の承認をとることが難しくなります。

従業員のデジタルリテラシーを高めることができれば、デジタル化を進めるアイデアが多く創出できるようになるかもしれません。

デジタル化の優先度の低さ

売上の向上に直接つながらない場合には、中小企業のデジタル化の優先度が低くなる傾向があります。業務の効率化など導入効果が認識されないと、デジタル化にかけるべき予算や工数が後回しにされやすくなります。

しかし、デジタル化は長期的には利益につながるため、将来への投資としてデジタル化への理解を深め、優先順位を見直してみてください。

中小企業におけるデジタル化のメリットと活用場面

では中小企業におけるデジタル化には、どのようなメリットがあるのでしょうか。日本政策金融公庫による調査「日本公庫総研レポート No.2022-5 2022年12月 デジタル化で生産性向上を図る中小製造業」※からの成功事例を交えながら、デジタル化によって得られる効果を以下で紹介します。

事例1:業務の高速化と人手の削減

デジタル化によって自動化・省人化することで作業の属人化を防ぎ、業務の高速化と人手の削減を図ることができます。

その適例となるのが、福岡県北九州市にあるオーエーセンターです。同社はチョコレート菓子の製造を手作業で行っていましたが、生産量に課題を抱えていました。そこでチョコ製造用ロボットや生産管理システムなどを導入して、業務の大部分をデジタル化しました。結果、16000個から最大3万個まで生産量を増加することができました。生産に人件費を割かなくてよくなったため、営業担当者も増員できるようになり、営業力を強化することもできたのです。

このように、自動化による工数の削減はリソースの最適化につながり、生産性の向上や利益の拡大も期待できるようになるでしょう。

事例2:運用コストの削減

デジタル化は、運用コストの削減にも効果的です。業務のムダを省くことで、ワークフローを改善し、全体の効率化を図ることができます。

岐阜県関市で金属部品の製造と営んでいた中央工機では、クラウド型システムの導入によって間接部門の効率化を実現しました。加えて協力工場にもクラウド型の独自端末を無償で支給することで、受発注の円滑化も図りました。同時に、材料の在庫データを各社に入力してもらって、在庫状況を可視化することで、納期の短縮とコストの削減を両立したのです。

このように、運用コストの削減は利益の増大だけでなく、サプライチェーンの強化や顧客満足度をもたらしてくれます。

事例3:新しい商品・サービスの創出

デジタル化は、商品・サービス価値の向上や新商品・サービスの創出にも寄与します。

その一例には、広島県広島市に本社を置くインタフェースのデジタル化が挙げられます。同社は、自動組み立てロボットや情報システムなどを自社で開発し、製造と管理を自動化しました。さらに、自社でデジタル化を実現した技術力を活用し、新規事業を立ち上げました。デジタル技術を学ぶ研修施設の運営を展開し、新たな商機を生み出したのです。

このようにデジタル化で培った知見自体を商品化したり、製品のIoT化やEC販売など既存事業と組みあわせたりすることで、新たな商機を得ることができるでしょう。

事例4:データを活用した経営・戦略設計

デジタル化をすれば自然とデータが蓄積されるようになるため、データを活用した経営・戦略設計が可能になります。

新潟県加茂市で金属加工業を営む有本電器製作所のデジタル化は、その好例でした。生産管理を可視化するシステムの導入によって、業務の効率化が進み、残業時間が2割ほど削減されました。また、蓄積されたデータから取引先ごとの付加価値(粗利を製造工数で割った金額)が明確になり、価格設定も適切化できました。付加価値は事業のKPI(重要目標達成指標)に据えられ、経営戦略立案の基盤としても活用されています。

このように自社の作業データを分析すれば業務のPDCAも回しやすくなりますし、顧客データを活用すればニーズの把握にも役立ちます。つまり、デジタル化によって多様なデータを収集できれば、的確な経営判断を行えるようになるのです。

デジタル化は中小企業の課題解決に有効

中小企業のデジタル化は遅れている現状ですが、それを悲観的に捉える必要はありません。最近では専門的な知識を必要としないDXツールが数多く存在し、低コストでデジタル化を推進することができます

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