DXとは? 言葉の意味と求められる背景について分かりやすく解説

最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)に関するニュースは後を絶たず、多くの企業が喫緊の課題として取り組んでいます。一方で「そもそもDXとは何なのか?」「なぜ取り組まなければならないのか」と思われている人も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、DXの定義から注目される理由、DXのメリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。さらに私たちの生活に与える影響についても紹介しますので、DXに取り組む際の参考にしてください。

目次

DXとはデジタル技術を通じてビジネスモデルを変革すること

DXとは「データやデジタル技術を通じて業務やビジネスモデルを変革し、競合優位性を確立すること」を意味します。元々は2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」と定義されていました。

しかし、2021年に総務省が発表した「情報通信白書」※の「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」には、「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義が図られました。現在、日本では、DXというとこの定義を意味することが一般的です。

DX推進の3ステップ

DX推進は3つのステップに分けられます。この順番通りでなくてもDXは達成できますが、事業の根本的な変革を目指すために、DX推進の流れとして下記のステップを参考にしてください。

デジタイゼーション

DXの第1段階となるのが、紙などによるアナログな業務プロセスをデジタル化する「デジタイゼーション」です。コスト削減や業務効率化が主な目的で、デジタルツールの導入などを行います。例えば、ペーパーレス化やオンライン会議システムの導入などが該当します。

基本的には部分的な取り組みとなるため、低コストでのスモールスタートが可能です。なお、日本企業の多くはデジタイゼーションの段階にあるといわれています。

デジタライゼーション

DXの第2段階が、業務プロセス全体をデジタル化することで新たな商品・サービスやビジネスモデルを創出する「デジタライゼーション」です。例えば、IoT導入による工場や作業現場の生産性向上や、営業支援システム・顧客管理システムによる業務改善などが挙げられます。

単にアナログをデジタルに置き換えただけでなく、デジタル化による付加価値が生まれている点が、デジタイゼーションとの大きな違いとなります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

デジタイゼーションとデジタライゼーションを経て、DXが実現します。社会の変化に対応するビジネスモデルの刷新や新たな価値の創出を通じて、社会制度や組織文化なども変革していくことになるでしょう。

注意したいのは、あくまでDXは手段であるという点です。DX自体を目的とするのではなく、企業全体の変革を通じた競合優位性の確立がポイントとなります。

DX推進についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

企業のDX推進とは?目的と課題、4つのステップを解説
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DXがビジネスに求められる理由

DXがビジネスに求められる理由は、主に4つ挙げられます。DXの重要性はコロナ禍以降、ますます増しています。

ビジネスモデルの変化

新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とし、ビジネスモデルが大きく変化しました。外出行動の抑制によってオンラインでの消費が増加し、EC需要が高まったことは記憶に新しいことでしょう。それはコロナ禍が落ち着きを見せる現在においても同様です。

かつてのビジネスモデルは、安定した市場環境と長期間にわたる計画に基づいて構築されていましたが、オフラインのみならずオンラインの消費が拡大したことで、顧客との接点は多様化し、個別のニーズにあわせたカスタマイズやサービスの提供が必要になりました。これに対応するために、企業は従来のビジネスモデルを見直し、デジタル技術を積極的に取り入れて新たな顧客体験を提供する必要があったのです。

加えて、生成AIの登場などデジタル技術はさらなる進歩を遂げ、ライバル企業との競争はさらに激化しています。そういった中で顧客のニーズに応えるためには、オフラインとオンライン両方を上手に活用するビジネスモデルの構築が欠かせません

デジタル技術の利用が拡大

コロナ禍によってデジタル技術の利用が急速に拡大したことも、DXの推進が必要とされる理由です。テレワークの導入によって、多くの企業でオンライン会議ツールやクラウドサービスなどが活用されるようになりました。当然、取引先との協働やコミュニケーションにおいても、デジタルツールの利用が一般化されています。

加えて、ダイバーシティへの対応やガバナンスの強化においてもデジタル化は有効であることから、多くの企業でDXに注力しているのです。

デジタル企業との競争

DXが求められている背景には、デジタル企業との競争が激化しているということもあります。ECなどオンライン事業への進出は、楽天やAmazonなどのデジタル企業、あるいは同サービスを利用する他企業との競合を意味します

そういったライバル企業に差をつけられないようにするためには、デジタル化だけでは不十分でしょう。自社の強みを活かしたDX戦略が今後のビジネスにおいては不可欠となります。

消費者との新しい関わり方

コロナ禍によって定着した「新しい生活様式」によって、企業も消費者との新しい関わり方を模索しなければならなくなりました。現代の消費者は、よりパーソナライズされたサービス、シームレスなオンライン体験、即時性、そして利便性を求めています

例えば、ECサイトやSNS、アプリなどを通じて、消費者と直接的に繋がり、よりパーソナライズされた購買体験を提供することができるようになります。また、AIやビッグデータの活用により、消費者の行動や嗜好を分析し、それに合わせた製品開発やマーケティング戦略を展開することも可能です。結果として、事業全体のDXによる付加価値の追求が必須となりました

DXのメリットとデメリット

DXには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。企業にとって避けては通れない課題だからこそ、DXの一長一短をきちんと把握した上で取り組むことが大切です。

メリット: 新商品・サービスの創出やデータドリブン経営

DXによるメリットは、第一に新商品・サービスの創出です。AIやIoTを用いた、今までにない商品・サービスを生み出すことができ、ビジネスチャンスが広がります。さらに、デジタル技術による生産性の向上を通じて、商品・サービスの低コスト化や利便化も図れるでしょう。

企業が意思決定の際に直感や経験だけでなく、収集したデータを分析し、その洞察に基づいて経営を行う「データドリブン経営」が可能となることもメリットです。顧客や販売、生産状況など自社の現状に即したデータを活用すれば、迅速かつ適切な経営判断をすることもできます。その影響範囲は多岐にわたり、生産性向上による利益率の拡大や市場変化へのリニアな対応など効果は絶大です。

デメリット:新システム導入によるコスト・負荷の増加

DXによるデメリットは、新システム導入によるコスト・負荷の増加です。既存システムから新システムへの移行には相応のコストと多大な労力を要します。場合によって、専門的な知識を有するIT人材の確保が必要になるでしょう。

最終的にはDXがもたらす効率化によってコストや負荷は低減されますが、システム導入時や運用当初には少なくない負担がかかります。つまり、長期的な視野を持って取り組むことが欠かせません

DXによる私たちの生活への影響

多くの企業が取り組んだ結果、DXは私たちの生活に多くの影響を及ぼしています。実際にどのような成果を生み出しているのかを知ることで、DXに対する理解が深まるでしょう。

DXによる生活の質の向上

DXは、生活の質を向上させています。例えば、ECサイトやフードデリバリーサービスによって、自宅にいながら気軽に買い物や食事を楽しめるようになりました。また、IoT対応した家電による家事の負担軽減や、ウェアラブルデバイスによる健康管理なども一例として挙げられるでしょう。

最近では、自治体でもQOL(生活の質)向上を目指して、DXを積極的に推進しています。マイナンバーカードの普及促進や行政手続きのオンライン化をはじめ、DXによって私たちの生活は今まで以上に便利で快適になりました。

新しい技術の普及と日常の変化

DXによって新しい技術が普及し、それによって私たちの日常も変わりつつあります。例えば、キャッシュレスサービスが広まった結果、現金を持ち歩く人が減るなど日常生活に変化がありました。加えて、テレワークの導入など新しい働き方も定着し始めています。

さらに、飲食業界では配膳ロボット、流通・運輸業界ではARグラス、企画・制作職では生成AIなど革新的な技術が続々と登場しています。これらはさらなる日常の変化を促しており、私たちの生活をますます豊かにしてくれるでしょう。

DXを今後のビジネスや生活にどう活かすかを考えよう

DXを推進するためには、正しい知識を有することが大前提です。DXの目的を正しく理解し、ビジネスや生活への影響を正確に把握することで、最適な活用方法を見極めることが可能となります。

そして自社におけるDXの方向性が明確化できたなら、まずは手軽に取り組めるDXツールの導入をおすすめします。DXのデメリットである「システム導入のコスト・負荷」を軽減し、多彩な機能で企業のDXを強力に後押ししてくれるはずです。

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