
近年、多くの企業が業務のデジタル化に取り組んでいる中で、まずは何からデジタル化をすればよいか悩んでいる担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、デジタル化とDXの違いを分かりやすく解説し、実際にどんな業務がデジタル化できるのか具体例も紹介します。業務効率や働き方改革、コスト削減に興味がある方はぜひ読み進めてください。
目次
業務デジタル化とは?DXとの違いと導入が必要な理由
「業務のデジタル化」は、近年日本の企業が直面している重要な課題です。デジタル化することで業務の効率化に繋がり、企業価値向上や持続的成長に繋げることができます。
業務のデジタル化とは
「業務のデジタル化」とは、従来紙媒体や電話、FAXなどで行っていたアナログな業務を、デジタル技術の活用によって電子化や自動化、省力化することを指します。
デジタル化には2つの定義があり、一つはデジタイゼーション(Digitization)で、紙の書類など物質的な情報を単純にデジタルデータへ変換することです。例えば、契約書や伝票をPDFやクラウドストレージへ保存する事例が該当します。
もう一つがデジタライゼーション(Digitalization)で、これはビジネスモデル全体やサービスの提供体制そのものを最適化し、ITツールなどで業務フローや管理プロセス全体をオンライン化・効率化する取り組みを意味します。たとえば、社内稟議や顧客対応をワークフローシステムに置き換え、時間やコストの削減、データの一元管理を実現するなどがこれに当たります。
特定の業務効率化を図るデジタイゼーションに対し、デジタライゼーションは経営やビジネス全体の変革を目指す点がポイントです。どちらのアプローチも経済産業省や多くの企業から注目されており、従来の紙中心の業務からデジタル技術で変革することが、今後の企業価値向上や持続的成長につながります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とデジタル化の違い
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「データやデジタル技術を通じて業務やビジネスモデルを変革し、競合優位性を確立すること」を意味します。2004年にスウェーデンのストルターマン教授による「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」という定義から始まり、現在では経済産業省が指針を示し、データやデジタル技術を活用してビジネスモデル、業務、組織文化まで幅広く変革することが求められています。
単なる業務プロセスの効率化やITツール導入にとどまらず、顧客や社会のニーズに合わせたプロダクトやサービスの開発、業務フローやマネジメントの改善、競争力の強化も含むのが特徴です。
一方で、デジタル化とは、いままで手作業で行っていたアナログ作業をデジタルに切り替えることを指し、目的は「業務を効率化したり、自動化することで人手不足を解消する」ことに焦点を充てています。そのため、DXを推進するために、デジタル化は必要な手段(一歩手前の段階)であるといえます。
DXについては、以下記事で詳細を解説しているのであわせてご確認ください。

【業務のデジタル化】具体例10選
ビジネスの現場にデジタル化を取り入れることで、さまざまな場面で効率アップやコスト削減が実現できます。ここでは、実際に多くの企業で導入されている具体例から、自社に合った業務デジタル化のヒントを探ってみましょう。ぜひ参考にしてみてください。
契約書や請求書
契約書や請求書のデジタル化は、多くの企業で導入が進んでいます。従来は紙の書類を郵送し、署名・押印や保存に多くの時間とコストが必要でしたが、今ではデジタルデータを活用した電子契約サービスの普及により、リモート対応や迅速な取引が可能になりました。
書類を電子化することで、印刷費や郵送費、保管スペースなどのコスト削減だけでなく、データベースでの一元管理や検索性の向上にもつながります。月ごとの請求や契約手続きもオンラインで対応でき、義務化されている保存データも安全に管理できる点が大きなメリットです。このような仕組みにより、取引先や顧客とのやりとりがスムーズになり、業務全体の効率が大幅な向上が見込めます。
経費申請や有給申請などの業務フロー
経費申請や有給申請などの業務フローは、ワークフローシステムの導入によって効率化を図ることが可能です。
従来、紙の稟議書や申請書を手書きして上長に届ける必要がありましたが、今では申請フォームをオンラインで作成・登録し、そのまま各承認者や関連部署へとシステム内で回付できます。進捗状況や確認事項はリアルタイムで把握できるため、確認漏れなどのトラブルも減少します。また、出社せずともオンライン上で申請や承認作業が完結するため、ペーパーレス化やリモートワークの推進も可能です。これにより、申請や承認にかかる時間と手間が削減され、社内全体の効率化につながっています。
勤怠管理
勤怠管理業務もデジタル化による効率向上が進んでいます。近年は専用システムやクラウドサービスが普及し、従業員の出退勤時間、残業、休暇の取得状況などをリアルタイムで記録・管理できるようになりました。
たとえば、社員証やICカードを使ったタッチ式の入退出管理や打刻が一般的です。リモートワークの増加にあわせて、パソコンへのログイン・ログアウト履歴から労働時間を自動算出するツールも登場し、多様な働き方に対応しています。手作業での集計や紙への記入作業が不要になり、管理側の負担が大きく減ると同時に、不正やミスの防止、勤務状況の正確な把握が可能となります。
営業活動
営業活動においても、成約までのフローをデジタルツールによって自動化することで、営業1人あたりの対応件数も増加させることが可能です。
新規顧客へのアプローチではMA(マーケティングオートメーション)やSFA(セールスフォースオートメーション)などのシステムを導入し、潜在ニーズや課題をデータ分析で把握、その情報をもとに最適な提案や資料提供が可能になりました。既存顧客との関係構築にはCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)が活用され、業務全体の効率と成果向上を後押ししています。
SFAについてや、MA・CRMとの違いは以下記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

会議
「オンライン会議ツール」を導入することで、遠隔地の社員や取引先とも簡単に打ち合わせが可能です。近年はAI(人工知能)技術の進化により、会議内容を自動で文字起こししたり、議事録をリアルタイムで作成できるサービスも増えています。これにより、従来は面倒だった議事録作成や共有作業も効率化され、重要なポイントをすぐに社内で共有できる環境を整えることが可能です。場所や時間に縛られずスムーズに意思決定が行えるようになっています。
具体的なツールとしては「Zoom」「Microsoft Teams」「Google Meet」を導入している企業が多いです。利用頻度・目的・他機能などを確認し、自社にあったツールを選定するようにしましょう。
プロジェクト・タスク管理
プロジェクトやタスク管理もデジタル化の具体例のひとつです。かつては進捗管理表や課題リストを紙で作成し、都度手作業で更新・共有していましたが、今は誰でも簡単に操作できるプロジェクト管理ツールを導入することで、作業全体のスケジュール、各従業員のタスクやリソースを一元化して管理できます。
プロジェクトに必要なファイルや資料もオンラインに集約でき、ナレッジの共有やノウハウの蓄積が進みやすい環境が整います。全体の進捗や課題をリアルタイムで把握できるため、社内のチームワークが向上し、業務の遅延やトラブルを未然に防げるのもメリットのひとつです。
ファイルのクラウド管理
資料やファイルの管理・共有も、クラウドサービスの導入で大きく効率化が進んでいます。クラウドストレージを利用することで、オフィス内外問わずどこからでもデータにアクセスでき、リアルタイムに共有・編集が可能です。クライアントやパートナーとも、安全な環境でスピーディに資料を共有し、郵送や持参にかかる手間や費用を削減できます。
これにより、社内外のやりとりが円滑になり、業務全体のスピードとセキュリティ対策が向上しています。
採用活動
採用活動もデジタル化が進み、SNSや専用サービスによるダイレクトリクルーティングが主流になりつつあります。従来の求人広告や雑誌中心のアプローチから、求める人材に直接アプローチしてオファーを出す手法が普及し、ターゲット人材との効率的なマッチングが可能です。
さらに、採用面接もオンライン会議システムを使って遠隔で実施できるようになり、選考や面接の日時調整や交通費負担も軽減されています。これにより、企業は多様な人材の採用に柔軟に対応でき、採用活動全体のスピードと効果も向上しています。
プロモーション
プロモーション分野では、インターネット広告の活用が定番となりました。商品やサービスの認知度を高めるために、検索連動型広告やSNS、ウェブサイトでの広告配信が積極的に行われています。
また、O2O(オンラインから実店舗へ誘導)やOMO(オンラインとオフラインの融合)といったマーケティング技術により、ターゲットごとに最適なプロモーションを実施し、その効果測定も即座に可能です。ほかには、動画広告を用いて短時間で訴求効果の高いプロモーションを行える点も魅力のひとつです。
名刺管理
名刺管理をデジタルで管理することも効率化に繋がります。従来の紙の名刺は管理や共有が難しく、情報の活用や検索にも時間と手間がかかっていました。しかし近年は名刺管理システムの導入が進んでいます。
デジタル技術を活用した名刺管理サービスを利用することのメリットは、「名刺情報の自動取り込みや検索が簡単」「顧客データの分析や活用がしやすい」「紙の削減によるコスト削減」などが挙げられます。また、セキュリティ対策や社内連携も強化され、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の一環としても有効です。
初めての業務のデジタル化はHirameki 7がおすすめ
Hirameki 7は、前述した具体例のうち、以下5つに対応している総合型DXツールです。
- 経費申請や有給申請などの業務フロー
- 営業活動
- プロジェクト、タスク管理
- ファイルのクラウド管理
- 名刺管理
業務のデジタル化が初めての人でもかんたんに使えるような画面設計になっており、専門知識不要で利用することができます。日本語でのサポートや、14日間の無料トライアルがあり、安心して利用できる点も魅力のひとつです。また上記機能をすべて利用しても1ユーザーあたり月額800円(税別)・月単位でのご契約になるので、導入ハードルが比較的低いのもポイントです。
上記具体例のひとつでも課題感として感じている部分があれば、まずは14日間の無料トライアルをぜひお試しください。
業務をデジタル化するメリット
デジタル化の主なメリットは、業務効率の向上、コスト削減、柔軟な働き方の実現の三つに大別されます。
業務の効率化
業務のデジタル化によるひとつめのメリットは、日々の作業効率が大幅に向上する点です。
例えば、請求書や伝票の印刷・郵送作業、手入力での経理処理、勤怠管理などバックオフィス業務の多くをITツールで自動化すれば、書類作成ややりとりのための手間と時間が削減されます。データのデジタル共有が簡単になることで、必要な情報やファイルもすぐに取り出せるため、社内連携やプロジェクトの進行もスムーズになります。
こうした作業効率化により、社員は本来注力すべきコア業務へシフトすることができ、組織全体のパフォーマンスも向上します。また、作業プロセスの標準化やフローの最適化も期待できることから、現場や管理部門だけでなく経営層にとっても多くのメリットがあります。
柔軟な働き方の実現
デジタル化の推進でリモートワークの環境が整い、従業員が自宅や外出先からでも業務を行うことが可能になります。それに加え、育児や介護との両立が必要な従業員向けに時短勤務やフレックスタイム制も組み合わせることで、社員一人ひとりが自分のライフスタイルに合った柔軟な働き方を実現可能です。
働き方の自由度が高まれば、従業員満足度やモチベーションの向上につながり、結果的に人材の定着や企業の魅力度もアップします。
コストの削減
デジタル化によって印刷やコピー、郵送、会議のための移動費用などさまざまなコストが大幅に削減が可能です。
例えば、ペーパーレス化により用紙・インク・紙保管スペースの費用が減り、チャットツールを活用した社内コミュニケーションは今まで電話やメールでかかっていた時間と人件費を縮小します。リモート会議やオンライン打ち合わせの普及で、交通費や宿泊費も必要なくなり、管理コストも減少します。業務効率の向上とコスト削減効果が掛け合わされることで、会社全体での経費削減や利益率の向上が発揮できるのがデジタル化の大きな強みです。
まとめ:デジタル化の具体例を理解して実践
業務デジタル化の取り組みは、企業ごとの現状や課題を把握したうえで、具体例を理解して適切な方法を選ぶことが大切です。ペーパーレス化により紙の書類を電子データ化し、書類管理や情報共有の手間を削減するのが一例です。
デジタル化を実施する際は、まとめて行うのではなく優先度を精査したうえで順次対応していくのがよいでしょう。