自社と顧客との架け橋となる営業には、新規営業と既存営業があります。
売り上げの現状維持だけなら既存営業でよいかもしれません。しかし売り上げを向上させたいのなら、新規営業はマストですよね。
今回は、新規営業を成功させるために知っておきたい、基礎的な知識やノウハウなどを紹介します。
目次
新規営業と既存営業にどのような違いがあるのか
新規営業と既存営業(ルート営業)の違いとは、顧客との信頼関係が構築されているか否かです。
既存営業の場合はすでに信頼関係が構築されており、取引をしている顧客から、契約の更新や追加の契約を獲得します。既存営業では顧客との関係性を維持することが重要であり、売り上げが現状維持の範囲に留まることも珍しくありません。それに対して新規営業は、顧客との信頼関係が何もない状態から始まります。何もない状態から顧客との関係をどのように築いてくのかは、営業次第なのです。
新規営業では、100件中1件でもアポイント(約束)を獲得できればよいといわれることもありますが、顧客との信頼関係を構築するためには、顧客と会話やメールなどでやりとりをする機会を作らなければいけません。新規営業には粘り強さが求められる、といえるでしょう。
新規営業を成功させるための5カ条を実践しよう
ではどうすれば、新規営業でアポイントを取り、顧客を得られるのでしょうか? ここでは「新規営業を成功させるための5カ条」をご紹介します。
ターゲットを絞って「新規営業開拓リスト」を作成する
新規営業では、自社の商品・サービスに興味を持ってくれそうなところに働きかけ、購買意欲をもってもらうことが成功のカギになります。そこで行うのが、「新規営業開拓リスト」の作成です。
まずは改めて、自社の商品やサービスの強み、特徴などを分析し、しっかりと理解しておきましょう。そして、既存顧客を分析し、新たに顧客となりそうな架空の顧客像=ペルソナを具体的に設定します。 自社の商品やサービスを買ってくれそうなのはどんな顧客か、業種や所在地、企業規模はどうなのか、そうした顧客に商品やサービスをどう説明するか――などといったことが、ペルソナを設定することで想像しやすくなるのではないでしょうか。
なお、既存顧客の分析には、すでに自社で活用している営業リストがあれば、そのリストを改めて分析してみることもおすすめです。
ニーズの高い顧客や、良好な関係を構築している顧客の、業種、所在地、企業規模などさまざまな視点から絞り込んでみましょう。そして、新しくアプローチしようとしている顧客との共通点を洗い出してみると、そのペルソナはさらに明確になり、ターゲットを絞り込め、具体的なアプローチ方法を検討できるのではないでしょうか。
リストは、ターゲットを絞り込んだ企業の徹底的なリサーチに加え、インターネットや展示会などでもらった名刺、SNSなどを利用し、営業活動に必要な情報をなるべくたくさん盛り込むことがポイント。新たに得た情報も忘れずに追加して、リストを更新することも忘れないようにしましょう。
ファーストアプローチで情報収集
「新規営業開拓リスト」を作成したら、ターゲットとなる顧客へのファーストアプローチを開始します。
ファーストアプローチは、これからの営業に必要な情報を集めるチャンス。契約を獲得するべく、担当者の名前や所属している部署、連絡先などの入手を目指しましょう。 電話で教えてもらえないときには、手紙やメールで面談をお願いする「面談依頼状」など、別のアプローチを試みるのも1つの方法です。
顧客との定期的なやりとりで営業のPDCAサイクルを回す
PDCAサイクルとは、生産・業務の効率化を行うための手法。Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Acttion(改善)という4つのプロセスを繰り返すことで、精度を高めるというものです。
それでは、新規営業においてPDCAサイクルを実践する場合を考えてみましょう。
自社の商品やサービスを売り込むために、どのような営業をすればよいのかという営業計画が「Plan」、顧客訪問や展示会への出展、DMといった手法で営業活動を実行することが「Do」になるでしょう。
さらに、営業計画と営業活動の結果とを照らしあわせて分析・評価し、課題を見出すのが「Check」、そして営業活動の結果を精査し、課題解決を含めた新たな営業計画の策定が「Action」となります。
PDCAサイクルを回す上で、定期的な訪問や、メール・電話などでのやりとりによる顧客との信頼関係の構築は欠かせません。なぜなら、営業計画の策定や営業の評価・改善をしていくために必要な情報を、顧客から引き出せるからです。 会話の一部のような、小さな情報も漏らさず分析し、営業の質をあげることで、新規営業の成功率を高めましょう。
顧客が抱えている課題を突き止める
顧客の抱えている課題を把握するために手がかりとなるのが、新規営業開拓リストに蓄積してきたデータや、顧客担当者との会話などから得た情報です。
把握した課題の本質的な原因を探り、解決を図るためには、物事を整理し、筋道を立てて顧客に説明できるよう、論理的に考えることが重要。課題を改善するために仮説を立てて検証するのもおすすめです。
課題を改善するための提示・提案をする
さて、顧客の課題に対して具体的な改善策を導き出したら、いよいよ顧客への提案です。
しかし、ここで提案する改善策の内容は正しいだけではなく、それを実施するメリットがあるのだなと、顧客が魅力を感じるものでなければなりません。 顧客の業種や担当者の性格、立場などによって、アプローチの方法は異なるはずです。顧客に最適な方法で改善策を提案することが、成功率を高めるカギです。
新規営業で役立つ手法とそのコツとは?
さてここからは、新規営業で役立つ手法とそのコツをご紹介しましょう。
対面でのアプローチで顧客の信頼を得やすい「飛び込み営業」
営業の基本ともいえる手法、それは企業を直接訪問する「飛び込み営業」です。
アポイントなしで訪問するので、相手にされないことも多い点がデメリットですが、1件でも話を聞いてもらえたら契約までたどりつける可能性があり、顧客からの信頼を得やすい点がメリットといえます。 数をこなすことで成功率を高められるのも特徴ですが、現在はコロナ禍以降は避けられがちな手法になっているので、注意が必要です。
アプローチ次第でチャンス倍増の「テレアポ」
電話にて面談のアポイントメントを取り付けることで、営業の機会をつくる手法が「テレアポ」です。
電話なら、飛び込みのように移動のコストがかからず、短時間で多くの企業にアプローチできるというメリットがあります。コロナ禍では飛び込み営業が敬遠される傾向にあるため、テレアポの方が活躍しやすいといえるかもしれません。
テレアポについては以下記事を詳細を解説しています。ご確認ください。
タイミングが合えば伝わりやすい「メール」
テレアポ同様に非対面で行われる営業活動が「メール」。メールなら、顧客の都合の良いタイミングで読めるだけでなく、文字で書かれているため内容を理解しやすい、という点がメリットです。
しかし同時に、読まれずに削除されるというデメリットもあります。メール営業を行う際はどういった件名・本文が最適かを検証してブラッシュアップしていくようにしましょう。
見込み客探しに効果がある「SNS」
「SNS」は、自社の情報を無料で発信できるツール。SNSでアピールすることで、自社の商品やサービスに興味がある見込み客の獲得に役立ちます。
反応があったらDMなどで連絡を取り合うことも可能ですが、押しの強い内容だと、に反感を抱かれてしまことも。書ける文章量も少ないため、誤解されないように丁寧に書くよう心がけてください。
新規営業は信頼関係を築くことができれば成功しやすい
既存営業に比べて、新規営業は担当者との話ができる状態にたどり着くまでが大変です。しかも、何度もやりとりを重ねて信頼関係を築かなければ、顧客に興味を持ってもらえるような提案はできません。
しかし、信頼関係を構築できたら、契約のチャンスは格段に高まります。
信頼される営業となるまでには時間がかかるかもしれませんが、成果を上げようというモチベーションをキープし、粘り強く営業活動を続けましょう。